この記事は2023年1月10日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

山川、若手頑張るの限界

最近、アーチェリーの歴史の整理で世界史に再度触れているのですが、研究者界隈ではこの50年ほど、自分が暗黒時代として習った中世が再評価されています。詳細は「中世とは何か( J.ル・ゴフ)」でもどうぞ。

それはさておき、興味本位で教科書では教えられ方が変化したのか気になって、調べてみました。

一般的に使用されている山川をみてみると、昔よりも言い方が若干柔らかいものになっていますが、基本的にはこの時代について否定的な書き方をまだしています。この教科書は10人の歴史家によって書かれているのですが、なんと、そのうち生き残っているのは4人だけという低い生存率のロングセラー(*)です。先輩たちによって書かれ磨かれてきた本文を、若手が書き換えるのは簡単ではないということなのでしょうね。

*史学会編『世界史概観』山川出版社、1949 年に起源を持つ教科書とのこと

この新時代区分は、ここ30-40年のあいだに欧米の歴史学会で受け入れられ、現在では広く認められている。

P.130

中世末期の文化の一つとして「ルネサンス」を配置する教科書も現れた。

P.136

生きてる書き手は、本文に変化をもたらすことができない代わりに、本文とは関係ないコラムを使って、なんとか最新の理解を学生に届けようと苦労している模様、頑張ってください。それにしても、欧米の中世の話である以上、「欧米の歴史学会で受け入れられ」ているんなら、日本のベテラン勢の認知を待つ必要あるん(笑)

大学院に行こうとはまだ思っていますが、その界隈に近づくほど、若干めんどい世界だというのが見えてきたかも。

30年前に問題提起をした論文はこちらです。1985年。

研究ノート 世界史教科書にみる中世とルネサンスの記述について : 暗黒の中世とルネサンスの春と

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2022年3月より、東京から引っ越し熱海市の古家で田舎暮らしをスタート、月13万円生活で・ω・金持ちいわく、年収200万未満は地獄らしい。私の年収は156万円(2023)、これをどこまで減らせるか、経済的なミニマム生活に挑戦。

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